時効とは?
時効とは、ある事実状態が一定期間継続した場合に、
その事実状態を法律上の権利関係として確立するために、
- 本来権利者でない者が権利を得たり
- 本来権利者であった者がその権利を失う
制度をいいます。
権利の上に長く眠っている者は民法の保護に値しないという考え方によります。
権利の内容により時効の期間が定められています。
1.時効の種類
時効には、次のような種類があります。
- 所有権などを手に入れる取得時効
取得時効とは、他人の所有する土地や物を一定期間占有することによってその所有権を取得できるというものです。たとえば、他人の土地を自分の土地だと思って20年又は10年間占有すればその土地の所有権を取得できるのです。
隣地を越境して建物や塀が建てられていた場合などに問題となります。
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借金などが消える消滅時効
消滅時効とは、5年や10年間など、法の定める一定期間、権利を行使しなかった者が、その権利を失ってしまうという制度をいいます。貸金や売掛金が5年や10年で消滅してしまう際などに問題となります。
所有権は消滅時効にかからりません。
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犯罪を犯した人間が、起訴されることを免れる公訴時効
公訴時効とは、犯罪後一定期間が経過することにより刑事訴追が許されなくなる制度です。犯罪が終わった時から、死刑にあたる罪については15年、無期懲役や無期禁錮にあたる罪については10年というように、その罪の重さに応じて1年から15年の期間が定められています
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刑の執行を受けなくなる刑の時効
刑の時効とは、在宅・保釈事件で裁判を受け、確定後、逃亡したりして、一定期間、刑の執行を受けなかったとき時効で刑の執行が免除となる制度です。
通常では考えられませんが、死刑の場合で30年、無期の懲役・禁固は20年で、10年以上の有期懲役で時効期間は15年と定められています。
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時効ではないが刑の言渡しの効力を失う刑の消滅
刑の執行を終り又は免除をえてのち、罰金以上の刑を受けることなく、10年を経過したとき刑の言渡しは、効力を失うと定められています。
2.
取得時効の期間
3.
消滅時効の期間 [
時効の期間(項目別一覧表)へ]
4.
公訴時効の期間
5.
刑の時効の期間
6.
刑の消滅の期間
7.消滅時効の中断事由
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時効中断事由とは、時効期間が進行している最中に、その事由が発生することにより、それまでのカウントが全て無に帰すことになり、再び最初から時効期間がカウントされることになる事由をいいます。
例えば、5年間の時効期間のうち、4年間経過していた時点で時効中断事由が発生すると、再びその時点から5年間経過しなければ、時効が完成しなくなります。
民法は、時効中断事由として、「請求」「差押」「仮差押」「仮処分」「承認」を挙げています。
ここで、「請求」が時効中断事由に挙げられていることから、時効完成間近になったら、書面等で請求すれば、時効は完成しないのだなと思ってはいけません。
ここでの「請求」とは、裁判上の請求、つまり訴えを提起することを意味しています。
訴訟手続を介さない請求は、ここでは「催告」として扱われ、6ヶ月間は時効が中断しますが、催告後6か月以内に裁判上の請求、差押等の裁判上の手続きをとらないと、時効中断の効力は生じません。
時効の中断事由
@請求
・裁判上の請求 (民法149条)
・支払命令 (民法150条)
・和解の申し立て (民法151条)
・調停の申し立て (判例)
・破産手続き参加 (民法152条)
・更正手続き参加 (会社更生法5条)
・再生手続き参加 (民事再生法98条)
・催告(民法153条) ※注:上記参照
※請求の注意点
・債権の一部についての訴えの提起は残部の消滅時効を中断しません。
・ただし、債権の一部であるとの明示がない場合は、全部の中断を生じます。
・訴えを取り下げた場合は、時効中断の効力は生じません。
A差押
B仮差押
C仮処分
D承認
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※承認の運用方法
承認は、時効によって利益を受ける者が、権利者に対して権利の存在を認識していることを表示することです。 弁済猶予の申し入れ、債権の一部返済など。
内容証明郵便により、相手が「一部でも代金を支払ってくれた」、「支払をもう少し待って下さい」という弁済猶予の申し入れがあったら、消滅時効は中断します。法律的には時効中断事由の「承認」に当たるからです。
ただし、弁済猶予の場合は、口頭だけの約束では、後で言った言わないとういう水掛け論になりますので、証拠として一筆書いてもらうなど置くなど工夫が必要でしょう。
ですから承認を運用する場合は、少ない金額の一部入金をしてもらうか、残高確認書などに署名捺印してもらい、保管しておきましょう。
8.時効の援用
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時効の効果は、時効期間によって当然に発生するものではありません。
時効の利益を受ける者が「時効の利益を受けます」と意思を表示(援用)することが必要です。
時効の援用は、そのことによって権利を消滅させるという、重大な権利変動を起こすものです。
そのため、後に言った言わないの水掛け論にならないよう、内容証明郵便を用いて行うべきです。
時効が完成しているにもかかわらず、知らずに、「支払をもう少し待って下さい」(弁済猶予)とか「債務の一部を弁済する」という行為にでるともはや時効の利益の援用は、信義則上できなくなります。
逆に考えると、時効により不利益を受ける側は、相手が援用しないかぎり請求できるわけで、内容証明で請求して 債務の承認をしてもらったり、あるいは代金の一部を支払ってもらったりするなど相手が自認行為をするように計画して自分の権利を保護しましょう。
時効完成前なら、債務の承認、一部弁済は、時効中断事由の「承認」にあたります。
9.時効の放棄
- 「完成した時効の利益を受けない」と意思表示すること。
ただし時効完成前に予め時効の利益を放棄することはできません。
これは弱い立場にある債務者が、無理にそういう約束をさせられることを防ぐためです。
したがって、時効完成前に「時効期間の延長します」「時効利益は放棄します」と約束しても無効となります。